メンタルヘルス対策のポイント
自己診断と相談相手の確保が重要
今まで何もしてこなかったかもしれないあなた。しかし、決して遅くはありません。今からでもセルフケアに取り組むことができます。これからは「自分の体やこころ」は自分で面倒をみよう。そういう意識を持つことはとても重要です。具体的には2つのことから始めてみましょう。
- 「自己診断」してみましょう。睡眠時間は十分取れているか。なかなか寝付けない夜が続いていないか。未明に突然目が覚めないか。食べ物を美味しいと感じているか。栄養のバランスを考えているか。仕事をしていて楽しいと感じるか。家庭にいるとリラックスできるか。出勤時に「今日もがんばるぞ」という気持ちになっているか。会社に行こうとすると腹痛が起きないか。学校のクラスメートの顔が浮かぶと登校したくなくなるといったことはないか。学校は楽しいか。そうした日常のリアルなことを自己検証してみましょう。正直なところ、本人以外に正確に把握することはできないのです。
- 職場で、あるいは学校で、相談できる人を作りましょう。コミュニケーションを構築することが孤立無援の精神的陥穽から脱却する縄梯子になるのです。役職を超えて親身になって相談に応じてくれる上司や先輩。いつでもいくらでも愚痴を聞いてくれる同僚。信頼できる産業医。担任でないのに話に耳を傾けてくれる教諭。うわべだけでなく真剣に向き合ってくれる親友。「そんな人がいれば苦労はしない」と投げてはいけません。人は基本的にはコミュニケーションの動物です。とっつきにくそうな上司もこちらが真剣になれば向き合ってくれます。そういう人もきっといます。
こころの病になった時に、「誰もわかってくれない」「どうして自分だけこんなに苦しまなければいけないのか」「しょせん他人は当てにならない」という負の思考に陥ることは避けなければなりません。このセンテンスの冒頭に「相談できる人を作りましょう」と書きました。そうです。作らなければならないのです。そういう努力が必要なのです。じっと待っているだけで、空から都合よく相談できる人が降りてくるわけがありません。甘えの構造を自ら打破する勇気も、時として必要になります。こころの病の専門医は、常にそのサポーターであり続けます。