コラムこころの点描
淘汰されざる者
ダーウィンは自然科学者として『種の起源』を著しました。自然科学は「個」を扱わず、「(普遍的な)法則」を扱います。
しかし現実に存在してきたのは「個人」であって、「人間」一般ではありません。「意識」一般は科学の扱うところでありますが、意識の内容(こころ)は扱いません。
ひとりの個人の命は、自然科学では地球より重いことはないのです。自然科学者としてふるまうことは、そのひとがヒューマニストであることとは別物です。
ナチスの科学者たちは「個」ではなく種(民族)としてのユダヤ人絶滅を企てました。私たちの「科学の子(鉄腕アトム)」はヒューマニストだったのでしょうか。
私(個)の一生は、「その他大勢」として扱われるような軽いものでしょうか。私たちの人生は、決して「将棋の駒」ではないと思うのです。