コラムこころの点描
記憶(思い出)の選択性
記憶(思い出)は夢(=願望)に近づきます。
知覚によって刻まれる記憶はその人の「意識の性質(状態)」によって規定されます。ですから同じものを見ても、人によってその記憶は違ったものになります。
『お前の目は節穴か』、『心ここにあらざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味を知らず』という成句もあります。これらは「意識の選択性と指向性」を表しています。
つまり私たちの記憶は、正確な事実とは言い切れないのです。すべて「なかったこと」にもできるのです。
皮肉な言い方になりますが、幸せな記憶しかない人は「おめでたい」のです。こういうのを近ごろは「プラス思考」というのでしょうか。